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世界1位でも劣悪な環境!インドの女性スポーツ選手を追ったドキュメンタリー

イベントを主催した『スラムドッグ$ミリオネア』の女優フリーダ・ピント

 映画『スラムドッグ$ミリオネア』で名をはせた女優フリーダ・ピントが主催するイベントで、インドの女子アーチェリー選手を描いた短編ドキュメンタリー映画『レディーズ・ファースト(原題) / Ladies First』の試写が行われ、ウラーズ・バール監督と製作者シャーナ・レヴィが、11月20日(現地時間)、ニューヨークのノイエハウス・マディソン・スクエアで語った。

 アーチェリー選手のディーピカ・クマリは、インドの貧しい田舎町育ち。12歳の時に食べ物を探しに近所を歩き回っていた際に、捨てられていたアーチェリーと出会う。その後、食事と寮生活が約束されたアーチェリー・スクール Tata Archery Academy に入学。プロに転向し、ワールドカップで3年連続銀メダルを獲得するなど、世界ランキング1位にまで上り詰めた。だが、その後、インド国内の女性蔑視と整っていない環境にさらされスランプに。その抑圧された環境を打破するために動き始めた姿を追った。

 今作の製作経緯について、バール監督は「インドで映画の仕事をする中で、困難な時期を過ごしていたある日、読んでいた新聞に、オリンピックに出場したいと願うアーチェリーの才能のある女の子が、インド政府や社会、さらに町の人々からもろくにサポートを受けていないことが記されていたんだ。その時の僕は、自分の環境と重ね合わせて彼女の境遇がとても理解できたんだ。妻のシャーナに『彼女の人生を映画にすべきだ』と話したら、シャーナは二つ返事で『映画にすべきね』と言ってくれたんだよ」とディーピカへの共感が製作のきっかけになったことを明かす。

 では、ディーピカはどんな女性なのだろうか。「とても控えめな女性で、初めて会った時はあまり心を開いてくれなかったね。今作は3年間に渡って撮影したんだけど、最初の6か月間の映像は今作に含まれていないんだ。彼女のガードがあまりに堅くて、リアルな姿を撮影することができなかったからね」とドキュメンタリー映画ならではのリアリティーのあるエピソードを明かす。一方で、インドの女性たちの置かれている環境については、「彼女たちはどの職業においても、社会移動(個人の社会的地位の移動)が全くない抑圧された環境下にあるんだ。不思議なことに、都市においてはテクノロジーの技術があり、経済的にも成長しているけれど、田舎町は完全に取り残された状態になっているんだ。そんなインドの価値観を持って、ディーピカにも会ったよ」とバール監督。彼女たちが(自分のやりたいことのために)多くの壁を打ち破らなければいけない環境にあることを訴えた。

 これまでミラ・ナーイル監督や名プロデューサー、スティーヴ・ティッシュらと仕事をしてきたというシャーナは、「インドを訪問した時、女性のストーリーがもっと語られるべきだと感じたわ。確かにインドには、ボリウッド・フィルムと言われる素晴らしいインド映画があるけれど、そのほとんどは現実逃避を提供しているの。ストーリーの構成力によって、変化を生むことができて、人々の人生を変えたり、物の考え方まで変えることができるような映画があることを、今作を通して知ってほしいと思ったわ。女性はサポートを得たら向上し、とても素晴らしいこともできる。そんな女性たちがまだ十分にサポートを受けていないのは嘆かわしいことだわ」と訴えかけた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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