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超売れっ子英国人作家:アンソニー・ホロウィッツ氏が天才な理由 (後編)【川合亮平の英国コラム】

こんにちは、川合亮平です。

僕が今魅せられている英国人作家アンソニー・ホロウィッツ氏の魅力について書いてます。

今回の後編では氏にまつわる面白トリビアを中心に書いてみます。

「ホロウィッツ氏って何がすごいのか?」について書いた前編を未読の方はこちらから↓↓↓

超売れっ子英国人作家:アンソニー・ホロウィッツ氏が天才な理由 (前編)【川合亮平の英国コラム】 | 海外ドラマboard

LONDON, ENGLAND - SEPTEMBER 06: Author Anthony Horowitz poses with his book 'The Word Is Murder' at Waterstones Piccadilly on September 6, 2017 in London, England. Anthony is the author of bestselling teen spy series 'Alex Rider' and is responsible for writing some of the UK's most successful TV series including Midsummer Murders and Foyle's War. (Photo by Chris Jackson/Getty Images)

子供の頃の鬱憤

彼は学生時代を私立のボーディング・スクール(寄宿学校)で過ごしたそうですが、それが実に忌むべき体験だったとのことです。

今ではそのカルチャーは変わっていると想像しますが、昔の英国のボーディングスクールって子供にとってはかなり酷い場所だったようですね。

今だったら考えられないような規則・体罰とかがあったりして。

そんな様子は映画やドラマでも描かれることがあると思いますが、僕はロアルド・ダール氏(英国の作家)の回顧的作品『Boy』を読んでそのカルチャーに驚嘆した口です。

Amazon | Boy: Tales of Childhood | Roald Dahl, Quentin Blake | Abuse

学校生活において、勉強できない、風土に全く馴染めないアンソニー少年はかなり追い詰められていたということですが、彼にとって唯一の“逃げ場”が図書館で物語の中に埋没することだったそうです。
「難しい本は読めないので、当時はTinTin(タンタンの冒険)シリーズを読んでいてそれだけが人生の救いでした」

Amazon | Tintin Paperback Boxed Set 23 titles | Herge | Comics & Graphic Novels

余談として、アンソニー少年はその後スピルバーグ監督映画『タンタンの冒険』(第2作目)の脚本を書くことになるんですが、人生が時折もたらしてくれるこのような喜ばしいハプニングを僕は個人的に愛しています。
(映画は公開前ですが、このプロジェクトの進捗状況がどうなってるのかよくわかりません。でも、彼がスピルバーグからオファーを受けてスクリプトに取り組んでいる(取り組んでいた?)のは事実のようです)

厳しい寮生活の中で、唯一の救いだった読書、そして、寮の寝室では同部屋の子供達に対して、夜な夜な即興ストーリーを語って楽しませていたとのこと(先生に見つかって廊下に立たされるまで)。
その時に、「自分はストーリーが(難なく)生み出せるんだ」と気づいたということです。
それで、かなり早い段階から作家を志したということですが、志す、というよりも「それしかない。それ以外やりたくない」という感覚だったようです。

彼の出世作にして最初の世界的ヒット作となった「アレックス・ライダー」(厳密には“ストームブレーカー”の巻)シリーズは、子供(ヤングアダルト)向けの冒険小説。アレックス少年が世界を舞台に大活躍する大アクション・スパイ活劇なのですが、アンソニー氏曰く「子供の頃の抑圧した感情。冒険したかったけどボーディングスクールに閉じ込められて一切できなかった想いが、この作品で爆発しているのかもしれません」と語っています。

今では世界中で翻訳されているアレックス・ライダーシリーズですが、「ストームブレーカー」の巻までは鳴かず飛ばずで、奥さんからも「もう子供向けを書くのはやめたら?」と言われていたそうですが、「ストームブレーカー」の最初の1節が自分から湧き出てきた時、これまでとは全く違うレベルの展開になると直感し、「これはいける」と確信したそうです。

ちなみに、「アレックス・ライダー」シリーズの邦訳版の表紙はあの荒木飛呂彦氏が手がけられていますよ。↓↓↓

ストームブレイカー (集英社文庫) | アンソニー・ホロヴィッツ, 竜村 風也, 荒木 飛呂彦 |本 | 通販 | Amazon

『ストーム・ブレーカー』はその後、映画にもなったのですが、結果的に思うような興行成績が残せず、「あれがヒットしてたら僕の人生は変わっていたのに」と氏は冗談半分で語っていらっしゃいました。

しかし、最新情報によると、アレックス・ライダーシリーズのテレビドラマ化放送が決定したようで、トレーラーが公開されています。

どの局なのか?いつからなのか?詳細はまだわかりませんが、僕は個人的に楽しみにしています。

そして、アレックス・ライダーシリーズの小説最新刊は来年4月に発売予定となっています!

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ミステリーにこだわる理由

17歳の時に『シャーロック・ホームズ』全集を父から贈られたことがミステリー作家としての意識の芽生えだったとのこと。

「殺人ミステリーだからといってバイオレンスに頼ったり、ダークになる必要は一切ない。温かい気持ちになったり、最終的に笑みがこぼれるような作品にしたいと思っている」というのが氏の創作のこだわりです。

そして、“推理ミステリー”のジャンルはなぜ普遍的な人気があるのか?という質問に対しては、

「人生というのは往々にして先行きが不透明なもの。そんな日々を生きる人々は明確な答えをどこかで探し求めているんだ。つまり、推理ミステリーは最後には必ず“答え・結論(つまり、誰が犯人、という)”が用意されてるでしょ?それが人気の秘密なんだと思う」と回答されており、なるほど確かになぁと唸っています。

今でも手書きの理由

僕個人的には「へえ!」という驚きの事実だったのですが、氏は今も手書きで原稿を書かれているとのこと。

推敲を重ねる中で、デジタル打ちに変わっていくらしいのですが、初稿はいつも手書きされているとおっしゃっていました。

「1日の終わりに仕事部屋の後ろを見ると、書き損じの原稿がたくさんたまっているんだ。でも、その中からいくつか“これ”というフレーズを抜き出して、本番原稿に反映されることは少なくないんだよ。パソコンだったら“消去”ボタンを押したら、その言葉はもう永遠に消えてしまう。でも、手書きだからこそ、残る言葉があり、後から再利用できることもあるんだよ」

いやぁー、その発想はなかったなぁ。
確かにそうですよね。

画期的意欲作

ホロウィッツ氏が「今後10年でシリーズ10巻を発表したい(人気が続けば)」と意気込んでいらっしゃるのが、キャラクター:ダニエル・ホーソーン元刑事のミステリーシリーズ。

2017年に第1巻、そして2018年に続編の第2巻がこれまで発表になっています。

調べたところ、第1巻の邦訳版は先日(2019年9月)発売になったところですね。 ↓↓↓

メインテーマは殺人 (創元推理文庫) | アンソニー・ホロヴィッツ, 山田 蘭 | 英米の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

この作品は、“画期的”な構造となっており、

氏曰く「普通のマーダーミステリーは、4者のバランスで成り立っている。つまり、メインキャラ(例えばホームズ)、サイドキック(例えばワトソン)、作家(物語を俯瞰した立場)、そして読者。だけど、この新しいシリーズは、作家をサイドキックの位置に据えることで、従来の構造を根本的に改革したんだ。作家というのは私自身のことで、私自身がサイドキックの役割を担って物語に登場しながら、ストーリーテリングも同時に行う、という構図なんだよ。だから、作者も読者と同じように終わりを知らない、作者も読者と同じようにメインキャラに頼るしかない、というとてもユニークな進め方になるんだ。僕にとってこのシリーズのメインキャラであるオーソーンはとても嫌な奴でいつもハラハラさせられるんだよ」

面白い、、、
一言で片付けたくはないですが、片付けざるを得ないなぁ、、、
つまり、「天才か」と。


氏の現在の意欲作であるこのシリーズ、僕は未読なのですが、まずは既刊の2冊から必ず読みます↓↓↓

Amazon.co.jp: The Word Is Murder: The bestselling mystery from the author of Magpie Murders – you've never read a crime novel quite like this (Detective Daniel Hawthorne 1) (English Edition) 電子書籍: Anthony Horowitz: Kindleストア

Amazon.co.jp: The Sentence is Death: A mind-bending murder mystery from the bestselling author of THE WORD IS MURDER (Detective Daniel Hawthorne 2) (English Edition) 電子書籍: Anthony Horowitz: Kindleストア

仕事部屋の置物

最後に紹介するトリビアは氏の仕事部屋にある、“あるもの”について。

それは、「本物の骸骨」です。

彼はそれを置いている理由について「時間が有限だということを思い出させてくるんだ。これを見ると、オレもそのうちこうなるんだから、生きているうちに出来るだけのことをしなくちゃ、と思うんだよ」

ホロウィッツ氏のほとばしる才能と多作の裏にある切実ともいえる想いを垣間見た気がしています。

それにしても、誰の骸骨?

JAIPUR, INDIA - JANUARY 27: English novelist and screenwriter Anthony Horowitz (L) in conversation Paro Anand during the "Storm Breaker" session at the 3rd day of Zee Jaipur Literature Festival (JLF), Diggi Palace, on January 27, 2018 in Rajasthan, India. (Photo by Raj K Raj/Hindustan Times via Getty Images)

いかがでしたでしょうか、興味の赴くままに、僕が今とても興味があるクリエーター、アンソニー・ホロウィッツ氏について書いてみました。

僕は氏の仕事ぶりを知ることで前向きな勇気が湧いてくるのですが、あなたもそんな気分になってもらえたとしたら幸いです。

とりあえず、僕は氏の作品を1つ1つ読み進めていきます。
いまからめちゃくちゃ楽しみです。

川合亮平でした。

p.s. ホロウィッツ氏のこちらの本は最近日本でもヒットしてるようですね

:::::::::::::::::::::::::::::
【本屋大賞翻訳小説部門第1位獲得! ついに5冠達成! !ミステリを愛するすべての人々に捧げる驚異の傑作】
2019年本屋大賞翻訳部門第1位
『このミステリーがすごい! 2019年版』第1位
『週刊文春ミステリーベスト10 2018』第1位
『ミステリが読みたい! 2019年版』第1位
『2019本格ミステリ・ベスト10』第1位
:::::::::::::::::::::::::::::
とのことです。 ↓↓↓

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫) | アンソニー・ホロヴィッツ, 山田 蘭 |本 | 通販 | Amazon

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫) | アンソニー・ホロヴィッツ, 山田 蘭 |本 | 通販 | Amazon

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川合亮平

通訳者・翻訳者。 東京在住 関西の人気テレビ番組で紹介され、累計1万部突破の...

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