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予算は7億円超!東洋と西洋を結ぶ初のマカオ映画祭に三池崇史、園子温、黒沢清ら参加

(写真左から)園子温監督、映画祭プレジデントのマリア・エレナ・デ・セナ・フェルナンデス、映画祭ディレクターのマルコ・ミュラー(東京・六本木の欅くろさわにて)

 第1回マカオ国際映画祭(中華人民共和国マカオ特別行政区)が12月8日~13日、マカオ文化センターなどで開催される。その目玉特集企画として、三池崇史、園子温、黒沢清らが参加した「アジアのジャンル映画の巨匠12人が選ぶジャンル映画この1本」がクロスファイア(レトロスペクティブ)部門で行われることが分かった。(取材・文:中山治美)

 マカオでの政府主導の国際映画祭は初めて。映画祭のプレジデントをマカオ政府観光局局長のマリア・エレナ・デ・セナ・フェルナンデスが務めている。開催期間は6日間と国際映画祭の中では短いながら予算は5,500万パタカ(約7億8,000万円。1マカオ・パタカ=0.07円換算)。さらにベネチア国際映画祭などで辣腕を振るったミュラーを招聘するなど相当力が入っている。

 ミュラーは目指す映画祭の方向性について、「マーティン・スコセッシ監督が映画化した遠藤周作の小説『沈黙』で描かれている通り、イエズス会はマカオにまず支部を設置しカトリック教を東アジア諸国に普及して行きました。まさにマカオは多文化のプラットホーム。その歴史性を映画祭にも投影し、東洋と西洋を結び、さらにここから世界配給へと繋がって行くような可能性を持った作品を紹介して行きたい」という。

 そんな映画祭の姿勢を象徴し、かつアジア映画に造詣の深いミュラーの人脈を活用した企画が「アジアのジャンル映画の巨匠12人が選ぶジャンル映画この1本」だ。ミュラーが人選した、自国と諸外国の架け橋となって活躍している監督たちに、影響を受けた海外のジャンル映画の選出を依頼。ただし「東アジアとハリウッドは除く」の注釈付きだったため、なかなかユニークなラインナップとなった。

 『吸血鬼ドラキュラ』(1958)を選出した園監督は、その理由について「僕は1961年生まれ。小学生の頃は、テレビで映画が放映される機会が多く、中でも最も印象が強かった、いや、全生涯においてのトラウマ映画と言っても過言ではないのが本作。自分のキャリアに大きな影響を与えた監督であり、作品だと思います」という。
 意外に思えるのは、アクション映画の雄として知られるジョン・ウー監督が選んだミュージカル映画の名作『シェルブールの雨傘』(1963)。ミュラーは「ウー監督は最初の頃、ミュージカルも製作していました。ウー監督はご存知の通り、中国で初めて公開された日本映画『君よ憤怒の河を渉れ』(1976)のリメーク『追捕 (原題)』を製作中ですが、将来的にミュージカルを作りたいそうです」と説明した。

 また『続・夕陽のガンマン』(1967)を選んだジョニー・トー監督からは、「デジタルと、35mmフィルムのテクニスコープの両方で上映して欲しい」と要望があったという。ジョー監督は未来の観客の育成の重要性を痛感しているそうで「特に30歳以下の若い観客たちに、2つの違いを感じて欲しい」とコメントを寄せたという。

 ほか、主な部門は若手監督によるジャンル映画を対象にしたコンペティション部門、特別招待上映部門など。なお、アン・リー監督の承諾を得て『グリーン・デスティニー』(2000)の英題である『クラウチング・タイガー、ヒデゥン・ドラゴン/Crouching Tiger、Hidden Dragon』のタイトルを部門の名称に使用。ジャンル映画のパノラマ部門を「ヒデゥン・ドラゴンズ」、企画ワークショップを「クラウチング・タイガー」と名付け流という。

 なお、コンペティション部門の審査委員長には、パキスタン出身でイギリス・フランス合作映画『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(2007)など海外でも活躍しているシェカール・カプール監督が決定。トロフィーのデザインを、『ヒューゴの不思議な発明』(2011)などを手掛けたプロダクション・デザイナーのダンテ・ファレッティが担当した。

 全上映作品は11月中旬頃に発表されるが、参加者が万遍なく鑑賞できる程度の上映本数に絞るという。ロッテルダム国際映画祭やロカルノ国際映画祭など名だたる映画祭でディレクターを務めてきたミュラーが、過渡期を迎えている国際映画祭に新たな変化をもたらすのか、注目されそうだ。

第1回マカオ国際映画祭は12月8日~13日開催。
http://iffamacao.com/en/
 

【アジアのジャンル映画の巨匠12が選ぶジャンル映画のこの1本】
《日本》
●黒沢清:
『顔のない眼』(フランス・イタリア/1959) ジョルジュ・フランジュ監督
●園子温:
『吸血鬼ドラキュラ』(イギリス/1958) テレンス・フィッシャー監督
●三池崇史:
『殺しが静かにやって来る』(フランス・イタリア/1968)セルジオ・コルブッチ監督

《中国》
●アン・ホイ:
『リスボン特急』(フランス/1972) ジャン=ピエール・メルヴィル監督
●ジョニー・トー:
『続・夕陽のガンマン』(イタリア/1966) セルジオ・レオーネ監督
●ジョン・ウー:
『シェルブールの雨傘』(フランス/1963) ジャック・ドゥミ監督
●ツイ・ハーク:
『ファントマ/電光石火』(フランス/1965) アンドレ・ユヌベル監督
●ニン・ハオ:
『放浪者』(インド/1951) ラージ・カプール監督
●ルー・チュアン:
『ウォルター・ディフェンズ・サラエボ(英題)/Walter Defends Sarajevo』(ユーゴスラビア/1972)

《韓国》
●キム・ジウン:
『悪魔のような女』(フランス/1955) アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督
●チェ・ドンフン:
『男の争い』(フランス/1955) ジュールス・ダッシン監督
●パク・チャヌク:
『赤い影』(イギリス・イタリア/1973) ニコラス・ローグ監督

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