NETFLIX史上NO.1ヒット　『クイーンズ・ギャンビット』はなぜこんなに評価されるのか

2月28日に授賞式が予定されている第78回ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされ、受賞への期待も高まるNetflixオリジナルシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』。話題の若手女優アニヤ・テイラー＝ジョイが主演を務めるということもあり、配信前から関心を寄せている海ドラファンは多かっただろうが、誰が社会現象を巻き起こすほど人気を集め、NETFLIX史上最も成功を収めたリミテッドドラマシリーズになることを予想していただろうか。

Netflixオリジナルシリーズ「クイーンズ・ギャンビット」Netflixにて独占配信中

全7話から成るリミテッド・シリーズである本作は1983年に出版されたウォルター・テヴィスの同名小説を原作とした天才チェスプレーヤーの少女を描いた物語。事故で親を亡くし、孤児として施設で育ったべス。彼女はギフテッド、いわゆる先天的に高い学習能力をもつ天才児であった。その能力は数学の授業で活かされていたが、施設の地下でチェスをする用務員のシャイベルに出会ったことで、チェスの世界で能力を開花させることになる。

昨年10月に配信開始後、わずか28日で過去最高となる6,200万ものNetflix契約世帯を虜にした『クイーンズ・ギャンビット』。その勢いはアメリカやイギリスだけに留まらず、作中に登場するロシアやなどでも絶大な人気を誇り、92の国でトップ10入りを達成。主演のアニヤ・テイラー＝ジョイが生まれ育ったイギリスとアルゼンチンをはじめ、63の国でランキング1位に輝いている。

本作が世界にもたらした影響はすさまじく、原作となった小説は出版から37年を経てニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーに登場。Googleにおけるチェスに関する検索数が2倍になり、"how to play chess (チェスの遊び方)"のキーワード検索は過去9年間で最多を記録。さらにeBayにおける"chess sets (チェスセット)"の検索数が250%増加し、Goliath Gamesではチェスの売上が170%増加。さらにさらにオンラインでチェスがプレーできるサイトChess.comの新規プレーヤー数は5倍になったという。

Netflixオリジナルシリーズ「クイーンズ・ギャンビット」Netflixにて独占配信中

「このドラマ面白いらしいよ」という情報が広まれば、そこから新たな視聴者を獲得することはたやすい。現にゴールデン・グローブ賞候補になったから観るという方や、高評価の噂を聞きつけ観はじめたという方も多いだろう。しかしこうした記録を振り返ると、本作は短時間で、瞬発的に、世界中で人気を獲得したことがわかる。なぜ人々はこんなにも『クイーンズ・ギャンビット』に熱狂したのか。それは誰もが知るチェスをクラシックかつモダンにみせたアニヤ・テイラー＝ジョイの華やかさと繊細な技術が光る製作陣の演出だろう。