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海ドラで見つけた懐かしのスター:第4回「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」のジョン・ヴォイト

 

アメリカでは依然として根強い人気をキープしているテレビドラマ「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」(‘13~)で、’14年の第71回ゴールデン・グローブ賞テレビ部門最優秀助演男優賞を獲得したベテラン俳優ジョン・ヴォイト。今ではアンジェリーナ・ジョリーのパパとして広く知られている彼ですが、かつては’70年代のハリウッド映画を代表する大物スターの一人でした。

 

低迷する旧態依然としたハリウッド業界の中で、当時の反体制的な若者の声を代弁するように湧きあがった’60年代末のアメリカン・ニューシネマ運動。「俺たちに明日はない」(’67)や「卒業」(’67)、「イージー・ライダー」(’69)、「明日に向って撃て」(’69)など数々の名作が生まれたわけですが、その中の一つがジョン・シュレシンジャー監督の「真夜中のカーボーイ」(’69)であり、この作品でアメリカン・ドリームを夢見て挫折する田舎者の青年を演じて一躍脚光を浴びたのがジョン・ヴォイトだったわけです。

 

↑「帰郷」でともにオスカーを獲得したジェーン・フォンダと授賞式にて

 

この「真夜中のカーボーイ」でいきなりアカデミー主演男優賞候補となり、ジョン・ブアマン監督の大自然サバイバル映画「脱出」(’72)や、ネオナチ秘密組織の存在を暴く問題作「オデッサ・ファイル」(’74)など、次々と代表作に恵まれたジョン。半身不随となったベトナム帰還兵を演じたジェーン・フォンダ共演の「帰郷」(’78)では念願のアカデミー主演男優賞を獲得し、名実ともにトップ・スターの座に輝いたわけです。

 

さらに、幼い息子のため世界チャンピオン復帰に命を懸けるボクサーを演じた「チャンプ」(’79)が大ヒット。この作品は息子役を演じたリッキー・シュローダーの愛らしさも話題を呼びました。黒澤明が原作の「暴走機関車」(’85)では、3度目となるアカデミー賞主演男優賞候補に。ただ、もともと出演作の多い方ではなかったジョンですが、本作以降はさらに寡作に。おかげで、すっかり映画界でも存在感が薄くなっていきます。

 

↑まだ幼い頃の愛娘アンジーと

 

ところが、久々の映画復帰となった「ヒート」(’95)や「ミッション・インポッシブル」(’96)辺りから活動が活発化。かつてあれほど出演作を吟味していたのに、今度は一転して来るもの拒まず(笑)。’97年には「アナコンダ」や「Uターン」など1年で5本もの映画に出演しており、「エネミー・オブ・アメリカ」(’98)の極悪人から「ナショナル・トレジャー」(’04)の父親役まで、幅広い役柄を演じることのできる脇役俳優として完全復活を遂げたわけです。

 

「トゥームレイダー」(’01)では不仲といわれた娘アンジーとの共演を果たし、モハメッド・アリの伝記映画「ALI アリ」(’01)ではスポーツ・レポーターのハワード・コーセルを演じてアカデミー助演男優賞にノミネート。ただ、あまりにも作品を選ばず出まくっているため、あのラジー賞でもたびたび候補に上がっちゃったりしているんですけれどね(笑)。

 

そんな彼が本格的にテレビへ進出することになったきっかけは、「24 –TWENTY FOUR- リデンプション」(’08)。アフリカの小国サンガラの軍事クーデターを裏で操る人物ジョナス・ホッジスを演じました。それまでもテレビ・ムービーにはワリと多く出演していたものの、シリーズ物への出演はこれが初めてでした。続く「24 –TWENTY FOUR- シーズンⅦ」(’09)でも再びジョナス・ホッジス役で登場し、ホワイトハウスを巻き込むテロの黒幕として暗躍。その不気味な存在感には、他の共演者を圧倒するほどの凄みがありました。

 

↑「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」の共演者らと

 

そして、テレビシリーズで初めてメインのレギュラーを務めたのが「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」。これはロサンゼルスで有名セレブのスキャンダルを揉み消す凄腕フィクサー、レイ・ドノヴァン(リーヴ・シュレイバー)を主人公に、華やかな世界のグレーな裏側を生々しく描いたハードボイルドな人間ドラマ。ジョンは主人公レイの父親ミッキーを演じているのですが、これがちょいワルオヤジならぬマジで悪いオヤジ。っていうか、ほとんど暴力団の組長(笑)。このレイとミッキーの複雑な親子関係がドラマの主軸の一つとなっており、ジョンは善と悪の両方を内包する老人ミッキーの得体の知れなさを体現して重量級の演技を見せております。しかもこのドラマ、主演のリーヴを筆頭に、エリオット・グールドにジェームズ・ウッズ、アン=マーグレット、イアン・マクシェーンなど、揃いも揃ってアクの強いベテラン大御所俳優がズラリと出演しており、彼らのアンサンブルだけでも胃もたれするくらい見応えがあるんですよね。

 

ちなみに、本作の全米放送が始まったばかりの’13年秋に、ロサンゼルスでメイン・キャストにインタビューをした筆者。もちろん、ジョンにもいろいろと話を聞いたわけですが、普段からハリウッド俳優の取材には慣れている筆者も内心ドキドキ状態。子供の頃から憧れてきた映画スターを前にすると、思わず仕事を忘れて昔の映画少年に戻ってしまうんですよね(^^;

実際に目の前にしたジョン・ヴォイトは穏やかで気さくな老紳士。映画スターというのはケイリー・グラントやハンフリー・ボガート、スペンサー・トレイシーのことであり、我々の世代には既に死に絶えてしまった人種だ。ましてや、自分のことを映画スターだと思ったことなど一度もない、私はただの職業俳優の一人に過ぎないと謙遜する言葉が印象的でした。

そもそも、彼は大変なシネフィルなんですね。学者並みに映画史にも精通しており、アメリカ映画はもとより世界中の映画をよく見ている。中でも日本映画からは大きな影響を受けたらしく、インタビュー終了後も黒澤明作品への愛情、’08年に東京国際映画祭の審査委員長として来日した時の思い出など、立ち話をしながら熱く語ってくれたのは本当に良い思い出です。

今年はJ・K・ローリング原作の新シリーズとして話題沸騰の「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(‘16)にも出演しているジョン・ヴォイト。77歳の高齢を感じさせないパワフルな演技で、これからもファンを楽しませて欲しいものです。

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なかざわ ひでゆき

'21年でキャリア30年目を迎えた映画&海外ドラマ・ライター。旧ソ連モスクワ育ち。日...

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